Benesse Method 01 高齢者ホームの環境創造を支援する「パターン・ランゲージ」 その方らしさに寄りそった環境づくりの手掛かり
No.008
立地をたのしむ
これにより
「地域における生活」に深く根ざし慣れ親しんだ行事、象徴性を帯びた山や桜を見る・触れる・感じることは喜びや安心であり、楽しみをもたらす要素となる。
その背景には
その土地に根ざして住んでいると強く思える何かが無いと、生活に安定感や満足感を得ることがない。
- 南側優位のプランを優先することによって、立地性を強く意識した方角の検討がされていない。
- 名のある山や、有名な年中行事を身近で見られることは自慢になり、変わらずそこにある風景は心の支えになる。
- 繰り返される開花や祭りは、時間や季節の移ろいを感じることができる。
こんな風に
私たちにとって富士山は格別な存在である。晴れた日に遠望する富士山の姿は秀麗であり、私たちに日本という国を想起させる。富士山でなくとも、地域に固有な景色や風景(例えば阪神間の六甲山や、関東の東京スカイツリーなど)や、古くから続く花火大会が見えることは、私たちの生活が地域にあることを強く意識させ、見る度に安心と喜びを与えてくれる。
桜は季節を感じさせる樹木・植栽の中でも人気が高い。毎春に桜の開花を迎えることで私たちの心には多くのことが去来し、季節や人生の区切りを感じる。鑑賞だけでなく、花見の行事は1年というサイクルの中で私たちの生活に深く根付いている。
ホームの立地環境を確認し、眺望が得られる場合は屋上スペースを設け、上階にダイニングや共用室を配置し大きな開口を設ける。
開口部のガラスは1枚で大きく取る。開閉させることより眺望を得ることを優先する。
敷地内の庭園に桜が残る/新たに植える場合は花見ができる外構計画を行う。
実践例
リハビリホームグランダ鵠沼・藤沢 屋上より撮影
アリア等々力の杜 コミュニティルームより撮影