リスクと向き合う
包丁も渡すCook, of course with knives
切れ味は隠し味
老人ホームではお食事が出てくるのが当たり前で、その方の料理をしている姿は見たことがありません。
その状況において
料理をつくりたいというご入居者がいたとしても、スタッフは、「怪我をさせてはいけない」という思いから、特に認知症のあるご入居者の場合、包丁や火を使って料理してもらうのを躊躇してしまいます。
そこで
リスクがあることも念頭に置きつつ、包丁も渡して、料理をつくってもらいます。
- まず、何を食べたいか、何をつくるかを考えるところからはじめますが、スタッフはお料理を教えていただくつもりでお手伝いします。
- スタッフのやり方ではなく、その方自身のやり方を大切にします。
- 包丁が持てなくても、その方が慣れた他の調理器具を渡したり、アドバイスをしてもらったり、その方に合った役割をお願いしましょう。
- 個々のご入居者が料理をする際のリスクや、どのように見守りをするかをあらかじめ考え、ご家族とも共有しておきましょう。
- 調理工程のイメージがつきにくければ、スタッフ同士で一度シミュレーションしてみるのも良いでしょう。
そうすると
長年料理をしてきたご入居者は、手続き記憶がしっかり刻み込まれており、包丁も難なく使いこなします。また、味付けにもその方のこだわりをいかすことで、満足度が高まります。できることは可能な限り自分でしてもらうことで、自信が高まり、ADL低下の予防にもなる可能性があります。また、その場にいるだけでも、料理をしてもらったり、してあげていた愛情や記憶を取り戻すことができるのです。