
ベネッセの有料老人ホームのご入居者は「年代が上がるほど、QOLが高い」ことを示唆
株式会社ベネッセスタイルケア(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:滝山 真也)の社内シンクタンクであるベネッセ シニア・介護研究所は、「年をとればとるほど幸せになる社会」の実現に貢献することを目指し、調査・研究を推進しております。このたび、主要なテーマの一つである「高齢者のQOLに関する調査・研究」について、2023年2・3月に実施した地域在住のご高齢者を対象にした調査(注1)に引き続き、ベネッセスタイルケアが運営する有料老人ホームのご入居者を対象に調査を行いました。本調査により、ご入居者の年代が上がるほど、QOLと関連する精神的健康状態を表すスコアが高いことなどが明らかになりました。調査結果は2024年9月28日~29日に白百合女子大学にて開催された日本老年行動科学会第26回東京大会において、「有料老人ホーム入居者のQOLに関する性別・年代別・介護度別の分析」(筆頭発表者:岡部 祥太)と題して発表しました。
本調査の背景
QOL(Quality of life)とは生活や生命の質を表す言葉で、世界保健機関では、QOLのことを「個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、基準、関心事に関連したその人自身の人生の状況に対する認識(翻訳)」と紹介しています(注2)。より良い生活をサポートするうえで、ご入居者のQOLを知ることは重要です。そこで、ご入居者のQOLに対する年代や性別、介護度の影響を明らかにすることを目的にアンケート調査を行いました。
調査結果
- 精神的健康状態を表すスコアは性別に関わらず、年代が上がるごとに高く、90代の方のスコアが70~80代の方よりも統計的に有意に高い(図1)。単純比較はできないものの、地域在住のご高齢者を対象にした2023年の調査注1では90代の方のスコアが低いという結果となっていた(参考図)。
- 介護度が要支援1の方よりも要介護1、2、3の方の精神的健康状態を表すスコアが統計的に有意に高い(図2)。
- 介護度が要支援2の方よりも自立、要介護1、2、3、4の方の精神的健康状態を表すスコアが統計的に有意に高い(図2)。
- 介護度が要介護4の方よりも要介護1の方の精神的健康状態を表すスコアが統計的に有意に高い(図2)。
今後の展望
本調査により、ご入居者の精神的健康状態を表すスコアが、年代が上がるほど高いことがわかりました。一方、70~80代や介護度が要支援となっているご入居者の精神的健康状態をどのように向上するかという課題が見出されました。また、地域在住のご高齢者を対象にした調査注1とは異なる結果となり、その要因等も研究していく予定です。
ベネッセ シニア・介護研究所は、これからも「年をとればとるほど幸せになる社会」の実現に貢献すべく、調査・研究を推進し、広く発信してまいります。
本調査の概要(図1および図2の調査)
アンケート概要
調査名称 | ご入居者様の幸福感調査 |
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調査方法 | 質問紙配布によるアンケート調査 |
調査実施時期 | 2024年4月15日~2024年5月15日 |
調査対象者 | ベネッセスタイルケアが運営する有料老人ホームのご入居者(ご本人の意思でアンケート回答に同意いただいた方) |
分析対象年代 | 統計処理に適する回答者数が集まった70~100代 |
有効回答者数 | 5,451名 |
主な調査項目 | 精神的健康に対する主観的評価を測るWHO-5などQOLに関連する項目 |